【入門線形代数】表現行列②-線形写像-

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「表現行列②」では基底変換行列を用いて表現行列を求めていこうと思います!
表現行列①」では定義から表現行列を求めましたが,今回の求め方も試験等頻出の重要単元です.是非しっかりマスターしてしまいましょう!

「表現行列②」目標

・基底変換行列を用いて表現行列を計算できるようになること

表現行列

表現行列とは何かということに関しては「表現行列①」で定義しましたので,今回は省略します.

まず,冒頭から話に出てきている基底変換行列とは何でしょうか?
それを定義するところからはじめます

基底の変換行列

基底の変換行列

ベクトル空間\( V\) の二組の基底を
\( \left\{\mathbf{v_1},\mathbf{v_2},\cdots,\mathbf{v_n}\right\},\left\{\mathbf{u_1},\mathbf{u_2},\cdots,\mathbf{u_n}\right\}\) とし

ベクトル空間\( V^{\prime}\) の二組の基底を
\( \left\{ \mathbf{v_1}^{\prime},\mathbf{v_2}^{\prime},\cdots,\mathbf{v_m}^{\prime }\right\} \),\( \left\{ \mathbf{u_1}^{\prime},\mathbf{u_2}^{\prime},\cdots,\mathbf{u_m}^{\prime} \right\} \) とする.

線形写像\( f:\mathbf{V}\rightarrow \mathbf{V}^{\prime}\)に対して,\( V\) と\( V^{\prime}\) の基底の間の関係を
\( (\mathbf{v_1}^{\prime},\mathbf{v_2}^{\prime},\cdots,\mathbf{v_m}^{\prime}) =(\mathbf{v_1},\mathbf{v_2},\cdots,\mathbf{v_n})P\)
\( (\mathbf{u_1}^{\prime},\mathbf{u_2}^{\prime},\cdots,\mathbf{u_m}^{\prime}) =( \mathbf{u_1},\mathbf{u_2},\cdots,\mathbf{u_n})Q\)

であらわすとき,行列\( P,Q \)を基底の変換行列という.

各ベクトル空間の基底の間に成り立つ関係を行列で表したものを基底変換行列といいます.
とは言いつつもこの基底変換行列がどのように役に立ってくるのかはここまでではわからないと思いますので,実際に以下の「定理:表現行列」を用いて例題をやっていく中で理解していくと良いでしょう

定理:表現行列

定理:表現行列

ベクトル空間\( V\) の二組の基底を
\( \left\{\mathbf{v_1},\mathbf{v_2},\cdots,\mathbf{v_n}\right\},\left\{\mathbf{u_1},\mathbf{u_2},\cdots,\mathbf{u_n}\right\}\) とし

ベクトル空間\( V^{\prime}\) の二組の基底を
\( \left\{ \mathbf{v_1}^{\prime},\mathbf{v_2}^{\prime},\cdots,\mathbf{v_m}^{\prime }\right\} \),\( \left\{ \mathbf{u_1}^{\prime},\mathbf{u_2}^{\prime},\cdots,\mathbf{u_m}^{\prime} \right\} \) とする.

線形写像\( f:\mathbf{V}\rightarrow \mathbf{V}^{\prime}\) の
\( \left\{\mathbf{v_1},\mathbf{v_2},\cdots,\mathbf{v_n}\right\},\left\{\mathbf{v_1}^{\prime},\mathbf{v_2}^{\prime},\cdots,\mathbf{v_m}^{\prime}\right\} \) に関する表現行列を\( A\)
\( \left\{\mathbf{u_1},\mathbf{u_2},\cdots,\mathbf{u_n}\right\},\left\{\mathbf{u_1}^{\prime},\mathbf{u_2}^{\prime},\cdots,\mathbf{u_m}^{\prime}\right\} \) に関する表現行列を\( B\) とし,

さらに,基底変換の行列をそれぞれ\( P , Q \) とする.
この\( P , Q \) と\( A\) を用いて,表現行列\( B\) は
\( B = Q^{-1}AP\) とあらわせる.

さて,定理が長くてまいってしまうかもしれませんので,
例題の前に定理を用いて表現行列を求めるstepをまとめておいてから例題に移りましょう.

表現行列を「定理:表現行列」を用いて求めるstep

表現行列を「定理:表現行列」を用いて求めるstep

(step1)基底変換の行列\( P , Q \) を求める.
(step2)線形写像に対応する行列\( A\) を求める.
(step3)\( P , Q \) と\( A\) を用いて,表現行列\( B = Q^{-1}AP\) を計算する.

では,このstepを意識して例題を解いてみることにしましょう

例題:表現行列

例題:表現行列

線形写像\( f:\mathbb{R}^3 \rightarrow \mathbb{R}^2\)
\(f ( \begin{pmatrix} x_1
\\x_2
\\x_3\end{pmatrix} ) = \left(\begin{array}{ccc}x_1 + 2x_2 – x_3
\\2x_1 – x_2 + x_3 \end{array}\right)\)
の次の基底に関する表現行列\( B\) を求めよ.
\( \mathbb{R}^3\) の基底:\( \left\{ \begin{pmatrix} 1
\\0
\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix} 1
\\2
\\-1\end{pmatrix},\begin{pmatrix} -1
\\0
\\1\end{pmatrix} \right\} \)
\( \mathbb{R}^2\) の基底:\( \left\{ \begin{pmatrix} 2
\\-1\end{pmatrix},\begin{pmatrix} -1
\\1\end{pmatrix} \right\} \)

それでは,例題を参考にして問を解いてみましょう.

問:表現行列

問:表現行列

線形写像\( f:\mathbb{R}^3 \rightarrow \mathbb{R}^2\) ,
\( f:\begin{pmatrix} x_1
\\x_2
\\x_3\end{pmatrix} \longmapsto \left(\begin{array}{ccc}2x_1 + 3x_2 – x_3
\\x_1 + 2x_2 – 2x_3 \end{array}\right)\)
の次の基底に関する表現行列\( B\) を定理を用いて求めよ.

\( \mathbb{R}^3\) の基底:\( \left\{ \begin{pmatrix} 1
\\-2
\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix} -2
\\-1
\\-1\end{pmatrix},\begin{pmatrix} 1
\\3
\\2\end{pmatrix} \right\} \)
\( \mathbb{R}^2\) の基底:\( \left\{ \begin{pmatrix} 2
\\3\end{pmatrix},\begin{pmatrix} 1
\\1\end{pmatrix} \right\}\)

以上が,「表現行列②」です.
この問題は線形代数の中でもかなり難しい問題になります.
やることが多く計算量も多いため間違いやすいですが例題と問を通してしっかりと解き方をマスターしてしまいましょう!
では、まとめに入ります!

「表現行列②」まとめ

「表現行列②」まとめ

・表現行列を基底変換行列を用いて求めるstepは以下である.
(step1)基底変換の行列\( P , Q \) を求める.
(step2)線形写像に対応する行列\( A\) を求める.
(step3)\( P , Q \) と\( A\) を用いて,表現行列\( B = Q^{-1}AP\) を計算する.

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