【入門線形代数】掃き出し法-連立一次方程式-

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「掃き出し法」では, 実際に行列の簡約化を用いて連立一次方程式を解いていきます!!
連立一次方程式を解くことは, 以降の様々な場面で登場します.
非常に大切な内容なので, しっかりとマスターしていきましょう!

「掃き出し法」の目標

掃き出し法を用いて, 連立一次方程式を解けるようになる!

この記事は, 簡約行列を知っていることが前提です. 簡易行列の理解に自信がない方は, 以下の記事を読んで復習しましょう!

掃き出し法

掃き出し法

掃き出し法は次のような操作です.

掃き出し法

行列の行基本変形を行い, 簡約行列を作り連立方程式を解く方法のことを掃き出し法という.

この操作を見て, なぜ簡約行列を作ることで連立一次方程式が解けるの?
と疑問を持った方もいるかもしれません. その部分を少し考察していくことにしましょう!

連立一次方程式

\( \left\{\begin{array}{}a_{11}x_{1} + a_{12}x_{2} + a_{13}x_{3} + \cdots + a_{1n}x_{n} = b_{1}
\\a_{21}x_{1} + a_{22}x_{2} + a_{13}x_{3} +\cdots + a_{2n}x_{n} = b_{2}
\\a_{31}x_{1} + a_{32}x_{2} + a_{33}x_{3} + \cdots + a_{3n}x_{n} = b_{3}
\\ \cdots
\\ a_{m1}x_{1} + a_{m2}x_{2} + a_{m3}x_{3} + \cdots + a_{mn}x_{n} = b_{m}\end{array}\right. \)

の解について考えます.

この方程式の拡大係数行列について, 簡約化を用いることで
最終的に係数行列の部分が簡約行列の形になったとします. つまり,

\( \left(\begin{array}{ccccc|c}1 & 0 & 0 & \cdots & 0 & c_{1}
\\0 & 1 & 0 & \cdots & 0 & c_{2}
\\0 & 0 & 1 & \cdots &0&c_{3}
\\ \cdots
\\0 & 0& 0& \cdots & 1 & c_{m}\end{array}\right) \)

というような形まで変形できたとすると, 連立方程式の解は

\( \begin{pmatrix}x_1
\\ x_2
\\ x_3
\\ \cdots
\\ x_m \end{pmatrix} = \begin{pmatrix}c_1
\\c_2
\\c_3
\\ \cdots
\\ c_m\end{pmatrix} \)

となります. いかがでしょうか?この解がスッと理解できましたでしょうか?

まだよくわからないという方の為に, もう少し掘り下げてみることにしましょう!
先ほどの拡大係数行列の簡約化から

\(\left( \begin{array}{ccccc}1 & 0 & 0 & \cdots & 0 
\\0 & 1 & 0 & \cdots & 0 
\\0 & 0 & 1 & \cdots &0
\\ \cdots 
\\0 & 0& 0& \cdots & 1\end{array}\right) \begin{pmatrix}x_1
\\x_2
\\ x_3
\\ \cdots
\\x_m \end{pmatrix} = \begin{pmatrix}c_1
\\c_2
\\ c_3
\\ \cdots
\\c_m \end{pmatrix} \)

となります. これを, 連立一次方程式で表すと

\( \left\{\begin{array}{}x_{1}+0+0+\cdots+0=c_{1}\\0+x_{2}+0+\cdots+0=c_{2}\\0+0+x_{3}+\cdots+0=c_{3}
\\ \cdots
\\0+0+0+\cdots+x_{n}=c_{m}\end{array}\right. \)

というように書けます. これは, 紛れもなく連立方程式の解

\( \left\{\begin{array}{}x_{1}=c_{1}\\x_{2}=c_{2}\\x_{3}=c_{3}
\\ \cdots
\\x_{n}=c_{m}\end{array}\right. \)

を表していますね!
ここまでのことが, 掃き出し法により連立方程式の解が求まる理由です.
それでは, 実際に問題を解いてみましょう!

問:掃き出し法

問:掃き出し法

次の連立方程式が解を持つかどうか調べ, 解を持つ場合は実際にその方程式の解を求めよ.
(1)\( \left\{\begin{array}{}2x_{1} + 3x_{2} + x_{3} = 4
\\4x_{1} + x_{2} – 3x_{3} = -2
\\-x_{1} + 2x_{2} + 2x_{3} = 2\end{array}\right. \)
(2)\( \left\{\begin{array}{}3x_{1}+2x_{2}-x_{3}=2
\\x_{1}+x_{2}-3x_{3}=-2
\\6x_{1}+4x_{2}-2x_{3}=4\end{array}\right. \)
(3)\( \left\{\begin{array}{}2x_{1} + 4x_{2} – x_{3} = 3
\\6x_{1} -3 x_{2} – 5x_{3} = 9
\\-4x_{1} – 8x_{2} + 2x_{3} = 4\end{array}\right. \)

今回の問では, 解なしのパターンも任意定数を指定するパターンも解きました. どのパターンでも対応できるように練習することが重要です!

また, 答えの最後の答えの書き方が(1), (2)で異なりますが, 数学的にはどちらでも構いません.
大学の講義等では(2)の書き方が一般的なように思われます.
とはいっても, 大学の先生の中にはこだわりを持つ人もいるので, 皆さんが通う大学のルールに合わせておくのがベストでしょう.

以上が「掃き出し法」についての話です!
掃き出し法は今後色々な場面で使うので, 必ず計算できるようになりましょう!

それではまとめに入ります!

「掃き出し法」のまとめ

「掃き出し法」のまとめ

・掃き出し法とは, 簡約行列を作り連立方程式を解く方法のこと.

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