行列の階数(rank)は他の単元でも必須の重要な内容です!!
このrankがわかることで, 連立方程式が解けるかどうか判断できたりします.
他にも, rankによって逆行列を持つかどうか調べられたりもします.
ここでしっかりと抑えてしまいましょう!!
・行列のrankを求められるようになる.
今回は, 階段行列を知っていることを前提に進みます.
階段行列の理解が怪しい方は, 以下のページで復習しましょう!
行列の階数(rank)
行列の階数(rank)
行列 \( A \)を行基本変形によって階段行列に変形したとき, 0でない成分が残っている行の個数を行列 \( A \)の階数またはrankといい, \( \mathrm{rank}A \)で表す.
rankについて, 具体例を挙げて説明します.
例:行列の階数(rank)
二つの行列を
\( A = \left( \begin{array}{crl}1 & 10 & 100
\\0 & 100 & 1
\\0 & 0 & 10\end{array}\right) \)
\( B = \left( \begin{array}{cccc}8 & -5 & 1 & 4
\\0 & 0 & 1 & 9
\\0 & 0 & 0 & 0\end{array}\right) \)
とすると\( \mathrm{rank}A = 3,\mathrm{rank}B = 2 \)となる.
なぜそれぞれの行列のrankがこのようになるのか少し考えてみましょう
まず, 行列が階段行列であることはわかるかと思います.
次に, 「0でない成分が残っている行の数」を考えます.
\( A \)では3つのすべての行が0でない成分を持っています.
従って\( \mathrm{rank}A = 3 \)と判断できます!
\( B \)では, 3つの行のうち, いちばん下の3行目の成分が0になっているので
「0でない成分が残っている行の数」は2つとなりますね
従って, \( \mathrm{rank}B = 2 \)と判断できます!
ここまでのことを踏まえると
行列のrankは, 階段行列の段の数に一致すると言い換えることもできます!!
ここで, 行列の基本変形によってrankが変わってしまうことはないの?
と疑問に思われた方もいるかもしれません。
結論から言うと, 行列の変形の方法は一通りではありませんが
どのように行基本変形を行ってもrankは一致します.
これについては一般に知られているので、今後特に断る必要はありません.
では, 次の問題を解いてrankについて理解を深めましょう!
問:行列の階数(rank)
次の行列\( A , B \)の\(\mathrm{rank} \)を求めよ.
\( A = \left(\begin{array}{crl}1 & 3 & 3
\\3 & 1 & 3
\\3 & 3 & 1\end{array}\right) \)
\( B = \left(\begin{array}{cccc}1 & -2 & 4 & 2
\\3 & -6 & 12 & 6
\\-2 & 4 & -8 & -4\end{array}\right) \)
この問を見た瞬間に「0でない成分が残っている行の数」はA, Bともに3だから
\( \mathrm{rank}A = 3 , \mathrm{rank}B = 3 \)と答えてしまった方は要注意です!
なぜなら, この二つの行列は階段行列ではありません.
まず階段行列に変形することから始めましょう!




以上の内容が行列の階数(rank)です.
冒頭にも話しましたが, rankは連立方程式の解が存在するかどうか, 逆行列を持つかどうか, といったことを判定するのにとても便利な道具になります.
次回は, rankの応用例として, 連立方程式が解を持つかどうか判定する方法を解説します!
それでは今回のまとめに入りましょう!!
「行列の階数(rank)」のまとめ
・行列のrankは, 行基本変形によって階段行列に変形したとき, 0でない成分が残っている行の個数.
次回の記事「連立一次方程式の解の自由度と分類」
入門線形代数記事一覧は「入門線形代数」