【入門線形代数】正規直交基底とグラムシュミットの直交化-内積空間-

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「正規直交基底とグラムシュミットの直交化法」ではせいきという基底をグラムシュミットの直交化法という特殊な方法を用いて求めていくということを行っていこうと思います.
グラムシュミットの直交化法は試験等よく出るのでしっかりと計算できるように練習しましょう!

「正規直交基底とグラムシュミットの直交化」目標

・正規直交基底とは何か理解すること
・グラムシュミットの直交化法を用いて正規直交基底を求めることができるようになること.

正規直交基底

基底の中でも特に正規直交基底というものについて扱います.
正規直交基底は扱いやすく他の部分でも出てきますので,まずは定義からおさえることにしましょう.

正規直交基底

正規直交基底

内積空間\(V \) の基底\( \left\{ \mathbf{v_1}, \mathbf{v_2}, \cdots ,\mathbf{v_n} \right\} \)に対して,
\(\mathbf{v_1},\mathbf{v_2}, \cdots ,\mathbf{v_n}\)のどの二つのベクトルを選んでも直交しそれぞれ単位ベクトルである.すなわち,

\((\mathbf{v_i},\mathbf{v_j}) = \delta_{ij} = \left\{\begin{array}{l}1 (i = j)\\0 (i \neq j)\end{array}\right. (1 \leq i \leq n,1 \leq j \leq n)\)を満たすとき
このような\(\mathbf{v_1},\mathbf{v_2}, \cdots ,\mathbf{v_n}\)を\(V\)の正規直交基底という.

定義のように内積を(\delta)を用いて表すことがあります.
この記号はギリシャ文字の「デルタ」で
\( \delta_{ij} = \left\{\begin{array}{l}1 (i = j) \\ 0 (i \neq j)\end{array}\right.\)
のことをクロネッカーのデルタといいます.

一番単純な正規直交基底の例を見てみることにしましょう.

例:正規直交基底

例:正規直交基底

\(\mathbb{R}^n\)における標準基底:\(\mathbf{e_1} = \left(\begin{array}{c}1\\0\\ \vdots \\0\end{array}\right),\mathbf{e_2} = \left(\begin{array}{c}0\\1\\ \vdots\\0\end{array}\right),\cdots,\mathbf{e_n} = \left(\begin{array}{c}0\\0\\ \vdots\\1\end{array}\right)\)

は正規直交基底

ぱっと見で違うベクトル同士の内積は0になりそうだし,
大きさも1になりそうだとわかっていただけるかと思います.

では,ここからは実際に正規直交基底を作る方法としてグラムシュミットの直交化法
というものを勉強していきましょう.

グラムシュミットの直交化法

グラムシュミットの直交化法

グラムシュミットの直交化法

内積空間\(\mathbb{R}^n\)の一組の基底\(\left\{\mathbf{v_1},\mathbf{v_2}, \cdots ,\mathbf{v_n}\right\}\)に対して次の方法を用いて正規直交基底\(\left\{\mathbf{u_1},\mathbf{u_2}, \cdots ,\mathbf{u_n}\right\}\)を作る方法のことをグラムシュミットの直交化法という.

(1)\(\mathbf{u_1}\)を作る.
\(\mathbf{u_1} = \frac{1}{ \| \mathbf{v_1} \| }\mathbf{v_1}\)

(2)(k = 2)\(\mathbf{v_k}^{\prime}\)を作る
\(\mathbf{v_k}^{\prime} = \mathbf{v_k} – \sum_{i=1}^{k – 1}(\mathbf{v_k},\mathbf{u_i})\mathbf{u_i}\)

(3)(k = 2)を求める.
\(\mathbf{u_k} = \frac{1}{ \| \mathbf{v_k}^{\prime} \| }\mathbf{v_k}^{\prime}\)

以降は\(k = 3,4,\cdots,n\)に対して(2)と(3)を繰り返す.

上にも書いていますが(2),(3)の操作は何度も行います.

だた,正直この計算方法だけ見せられてもよくわからないかと思いますので,
実際に計算して身に着けていくことにしましょう.

例題:グラムシュミットの直交化法

例題:グラムシュミットの直交化法

グラムシュミットの直交化法を用いて,次の\(\mathbb{R}^3\)の基底を正規直交基底をつくりなさい.
\(\mathbb{R}^3\)の基底:\(\left\{ \begin{pmatrix} 1
\\0
\\1\end{pmatrix},\begin{pmatrix} 0
\\1
\\2\end{pmatrix},\begin{pmatrix} 2
\\5
\\0\end{pmatrix} \right\}\)

慣れないうちはグラムシュミットの直交化法の計算法の部分を見ながら計算しましょう.

それでは,力試しに問を解いていくことにしましょう.

問:グラムシュミットの直交化法

問:グラムシュミットの直交化法

グラムシュミットの直交化法を用いて,次の\(\mathbb{R}^3\)の基底を正規直交基底をつくりなさい.
\(\mathbb{R}^3\)の基底:\(\left\{ \begin{pmatrix} 1
\\-1
\\1\end{pmatrix},\begin{pmatrix} 1
\\1
\\1\end{pmatrix},\begin{pmatrix} 3
\\1
\\1\end{pmatrix} \right\}\)

以上が「正規直交基底とグラムシュミットの直交化」です.
なかなか計算が面倒でまた、次何やるんだっけ?となりやすいのがグラムシュミットの直交化法です.
何度も解いて計算法を覚えてしまいましょう!
それでは、まとめに入ります!

「正規直交基底とグラムシュミットの直交化」まとめ

「正規直交基底とグラムシュミットの直交化」まとめ

・正規直交基底とは内積空間\(V \) の基底に対して,
\(\mathbf{v_1},\mathbf{v_2}, \cdots ,\mathbf{v_n}\)のどの二つのベクトルを選んでも直交しそれぞれ単位ベクトルである
・グラムシュミットの直交化法とは正規直交基底を求める方法のことである.

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