「像と逆像」では,意外となんだったっけとなってしまいがちな像と逆像の話をしていこうと思います.
像と逆像に関しては今後数学の様々な部分で出てくるものですのでしっかりとおさえてしまいましょう!
像と逆像
像と逆像
集合記号や言葉でかかれてもいまいちピンとこないとおもいます.
こちらは図を通して理解していくのがいいかと思いますので,
以下の写像\( f:X\rightarrow Y \)を使って像と逆像をみていきます.
では,この写像に対して \( f(x_1),f(x_2),f(x_3),f(x_4) \)はどうなるでしょうか.
ひとつずつ丁寧に像をみていきましょう.
\( x_1 \in X \)に対して\( y_1 = f(x_1) \).ゆえに\( f \)による\( x_1 \)の像は\( y_1 \).
同様にして
\( x_2 \in X \)に対して\( y_2 = f(x_2) \).ゆえに\( f \)による\( x_2 \)の像は\( y_2 \).
\( x_3 \in X \)に対して\( y_2 = f(x_3) \).ゆえに\( f \)による\( x_3 \)の像は\( y_2 \).
\( x_4 \in X \)に対して\( y_3 = f(x_4) \).ゆえに\( f \)による\( x_4 \)の像は\( y_3 \).
同様に逆像も考えていきましょう.
\( y_1 \in Y \)に対して\( f(x_1) = y_1 \)より\( f^{-1}(y_1) = \left\{x_1 \right\} \)
\( y_2 \in Y \)に対して\( f(x_2) = y_2,f(x_3) = y_2 \)より\( f^{-1}(y_2) = \left\{x_2,x_3 \right\} \)
\( y_3 \in Y \)に対して\( f(x_4) = y_3 \)より\( f^{-1}(y_3) = \left\{x_4 \right\} \)
\( y_4 \in Y \)に対して\( f(x) = y \)が成り立つような\( X \)の元は存在しないので\( f^{-1}(y_4) = \emptyset \)
このように逆像は元の集まりを表しますので集合で表せます.
こちらも図を付けておきます.
以上が像と逆像ですが,
像と逆像はしばしば部分集合として定義されることもあるのでそちらの定義もしておきます.
像と逆像(集合)
本質は元の単位で見たときと変わりません.
なので部分集合になろうが同様に考えることができます.
実際に上と同様に像と逆像を考えていくことにしましょう.
\( X \)の部分集合を\( A = \left\{x_1,x_2 \right\} \)とします.
このとき以下の写像\( f:X\rightarrow Y \)を考えます.
では,像\( f(A)\)を求めていくことにしましょう.
\( x_1 \in A \)に対して\( y_1 = f(x_1) \).ゆえに\( f \)による\( x_1 \)の像は\( y_1 \).
同様に
\( x_2 \in A \)に対して\( y_2 = f(x_2) \).ゆえに\( f \)による\( x_2 \)の像は\( y_2 \).
これは先ほどもやりました.
\( A \)のすべての元に関して像がわかりましたので,
\( x \)の部分集合\( A \)の像は
\( f(A)=\left\{f(x_1),f(x_2) \right\} = \left\{y_1,y_2 \right\} \)
と表せます.
図で表すと下のようになります.
それでは続けて,
\( Y \)の部分集合を\( B = \left\{y_1,y_2 \right\} \)とします.
このときうえと同じ写像\( f:X\rightarrow Y \)について
逆像\( f^{-1}(B)\)を考えていきましょう
\( y_1 \in B \)に対して\( f(x_1) = y_1 \)より\( f^{-1}(y_1) = \left\{x_1 \right\} \)
\( y_2 \in B \)に対して\( f(x_2) = y_2,f(x_3) = y_2 \)より\( f^{-1}(y_2) = \left\{x_2,x_3 \right\} \)
従って,\( Y\)部分集合\( B \)の逆像は
\( f^{-1}(B)=\left\{f^{-1}(y_1),f^{-1}(y_2) \right\} = \left\{x_1,x_2,x_3 \right\} \)
と表せます.
図で表すと下のようになります.
以上が「像と逆像」の話です.
大学以上の数学において像と逆像は線形代数に限らず様々な場面で登場するとても大切な概念ですので,しっかりと図を用いて理解しておきましょう.
それでは、まとめに入ります!