【入門線形代数】固有値・固有ベクトル-標準化-

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「固有値・固有ベクトル」では線形代数の中でも非常に重要な対角化を行うために必要な固有値と固有ベクトルという概念を学んでいきます.応用範囲も広く試験等でも定番中の定番の範囲ですのでしっかりと学んでいきましょう!

「固有値・固有ベクトル」目標

・固有値、固有ベクトルとは何であるか理解する
・固有値と固有ベクトルを計算できるようになること

固有値と固有ベクトル

固有値と固有ベクトル

固有値と固有ベクトル

n次正方行列行列\( A\) とスカラー\( \lambda \in \mathbb{R}\) に対して
\( A\mathbf{v} = \lambda \mathbf{v} \Leftrightarrow (A – \lambda E)\mathbf{v} = \mathbf{0} \)
となるような\( \mathbf{v}(\mathbf{v} \neq \mathbf{0})\)が存在するとき
\( \lambda \in \mathbb{R}\) を行列\( A\) の固有値
\( \mathbf{v}\)固有値\( \lambda\) に属する\( A\) の固有ベクトルという.

この固有値と固有ベクトルについて考察してみることにしましょう.
\( \mathbf{v}\) を固有値\( \lambda\) に属する\( A\) の固有ベクトルとしたときに

右辺は\( \lambda \in \mathbb{R}\) なのでベクトルの定数倍を表しています.
左辺は\( \lambda \mathbf{v}\)なのでベクトルの行列倍を表しています.
この二つが等式で結ばれていますので,この定義によりベクトルの定数倍を行列で表せるということになります.

では,ここからは固有値を求める方法について考えていきましょう

固有値と固有多項式

固有値と固有多項式

正方行列\( A\) に対して, 多項式
\( \varphi_{A}(\lambda)= |A – \lambda E|\)
を \( A\) の固有多項式とよぶ.
このとき,\( \varphi_{A}(\lambda) = |A – \lambda E| = 0\) となる\( \lambda\) を\( A\) の固有値 という.

簡単に言うと(固有多項式) = 0
を計算することによって固有値が求まります.

なぜこの計算で固有値が求まるのか気になる方は「定理証明集(準備中)」で証明したいと思いますのでチェックしてください.

さて、実際に計算して固有値を求める方が理解も深まると思います.
ただ,例題や問に入る前に固有空間というものを定義しておきます.

固有空間

固有空間

行列\( A\) の固有値\( \lambda\) に対して
\( A\mathbf{v} = \lambda \mathbf{v} \) を満たす\( \mathbf{v}\) の集合
すなわち\( (A – \lambda E)\mathbf{v} = \mathbf{0}\) を満たす
\( \mathbf{v}\) の集合のことを\( A\) の固有空間といい,

\( V(\lambda) = \left\{ \mathbf{v} \in \mathbb{R}^n | A\mathbf{v} = \lambda \mathbf{v} \right\}\)
とかく.

固有空間とは固有値と固有ベクトルの対応をわかりやすく書いたものです.

たとえば
固有値\( \lambda = 1\) ,\( \lambda = 1\) に対応する固有ベクトルが\( \left(\begin{array}{c}1 \\-1 \end{array} \right)\) となったとします.

このとき,固有空間は
\( V(1) = \langle \begin{pmatrix}1
\\-1 \end{pmatrix}\rangle\) とかけます.
こうすることにより一目で固有値と固有ベクトルがわかりますね.

では準備が整いましたのでいよいよ固有値と固有ベクトルを求めていきましょう.

例題:固有値と固有ベクトル

例題:固有値と固有ベクトル

次の行列の固有値.固有ベクトルを求めそれぞれの固有値に対応する固有空間をもとめよ.
\( A = \left( \begin{array}{ccc}2 & -1 & 1
\\1 & 3 & -1
\\2 & 1 & 1\end{array} \right)\)

さて、それでは問を解いていくことにしましょう.

問:固有値と固有ベクトル

問:固有値と固有ベクトル

次の行列の固有値.固有ベクトルを求め
それぞれの固有値に対応する固有空間をもとめよ.

\( A = \left( \begin{array}{ccc}3 & 1 & 0
\\2 & 2 & 0
\\1 & -1 & -1\end{array} \right)\)

以上が「固有値・固有ベクトル」という話です.
試験頻出の上計算量は多いですが,操作自体は単純なものです.
ぜひ今回の問や例題をしっかりと解きなおしてマスターしてしまいましょう!

それではまとめに入ります!

「固有値・固有ベクトル」まとめ

「固有値・固有ベクトル」まとめ

・固有値と固有ベクトルとは
\( \mathbf{v}(\mathbf{v} \neq \mathbf{0})\)が存在するとき
\( \lambda \in \mathbb{R}\) を行列\( A\) の固有値
\( \mathbf{v}\) を固有値\( \lambda\) に属する\( A\) の固有ベクトルという.

・固有値は\( \varphi_{A}(\lambda)=0\)を計算することで求まる

・固有空間とは固有値と固有ベクトルの対応をわかりやすく書いたもの

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