「行列の対角化」では対角化の定義と実際に対角化ができるようになることを目標に勉強していこうと思います!対角化は試験でも超頻出の重要単元ですのでしっかりと計算できるようになっていきましょう!
対角行列
対角化では行列を対角行列の形にしていきます.
まずは対角行列とは何であるかというところから定義していきましょう!
対角行列
対角行列
対角成分以外の成分が全て0である行列のことを対角行列という.
「対角行列」とは「対角(成分以外全部0)行列」と覚えるといいかと思います.
実際に以下の例が対角行列といえます.
例:対角行列
例:対角行列
以下の行列は対角行列である.
\( \left(\begin{array}{cc}1 & 0 \\0 & -1\end{array}\right) \)
\( \left(\begin{array}{crl}2 & 0 & 0 \\0 & 3 & 0 \\0 & 0 & -1\end{array}\right) \)
むろんこれ以外にも対角行列は無数にあります.
対角成分以外0というイメージをしっかりとつかんでおきましょう.
それでは,ここからメインイベント対角化に入っていきます!
対角化
対角化
対角化
n次正方行列\( A \) に対して,適当なn次正方行列\( P \) をとり,
\( P^{-1}AP\) が対角行列となるとき,\( A \) は対角化可能という.
また,\( A \) は\( P \) により対角化されるという.
この対角化の定義の対角化可能という部分について少し掘り下げて以下の定理を与えます
定理:対角化可能
定理:対角化可能
n次正方行列\( A \) に対して,
\( A \) が対角化可能であることの必要十分条件は
\( n\) 個の一次独立な\( A \) の固有ベクトルが存在すること
である.
実際になんでこれで対角化可能なのだろうという話は「定理証明集(準備中)」で行おうこと
今大切なのは一次独立な固有値が存在するということです!
ではここまでは定義や定理を与えてきたのですが,実際に計算する方がよりイメージもしやすいかと思いますので,ここからは計算に入っていくことにしましょう!
対角化の手順
対角化の手順
(step1)固有値を求める.
(step2)固有ベクトルを求める.
(step3)固有ベクトルを並べて正則行列\( P \) を作る.
(step4)\( P \) に対して\( P^{-1}AP\) を各固有値を対角成分に持つ行列とする.
この手順を意識して例題と問を解いていくことにしましょう
例題:対角化
例題:対角化
次の行列を対角化せよ.
\( A = \left( \begin{array}{ccc}2 & -1 & 1\\1 & 3 & -1\\2 & 1 & 1\end{array} \right)\)
「対角化の手順」(step1)、(step2)に関しては「固有値・固有ベクトル」でやったものそのものなので今回は省略します.
では、さらに問に入っていきましょう.
例題と同様「対角化の手順」(step1)、(step2)に関しては「固有値・固有ベクトル」でやったものそのものなので省略します.
問:対角化
例題:対角化
次の行列を対角化せよ.
\( A = \left( \begin{array}{ccc}3 & 1 & 0\\2 & 2 & 0\\1 & -1 & -1\end{array} \right) \)
以上が「行列の対角化」についてです.
計算が多いですが,やっていること自体は機械的ですので何度も解きなおして手順をマスターしてしまいましょう!
それではまとめに入ります!
「行列の対角化」まとめ
「行列の対角化」まとめ
・対角化の手順は以下である
(step1)固有値を求める.
(step2)固有ベクトルを求める.
(step3)固有ベクトルを並べて正則行列\( P \) を作る.
(step4)\( P \) に対して\( P^{-1}AP\) を各固有値を対角成分に持つ行列とする.
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