「成分表示されたベクトルの内積」では,ベクトルが成分表示されている場合の
内積を求めていこうと思います
ベクトルの内積について理解が怪しい方は「ベクトルの内積」を復習してからこちらの記事を
勉強すると良いでしょう!
「成分表示されたベクトルの内積」目標
・成分表示されたベクトルの内積を求めることができるようになる!
成分表示されたベクトルの内積
まずは,ベクトルの内積に対して成り立つ性質を紹介しておきます!
「ベクトルの内積」でも紹介した内積に対して成り立つ性質を復習しておきましょう.
定理:ベクトルの内積の基本性質
定理:ベクトルの内積の基本性質
3つのベクトル\( \mathbf{a},\mathbf{b},\mathbf{c}\)と\( k\in\mathbb{R}\)に対して
(ⅰ)\( (\mathbf{a},\mathbf{b}) = (\mathbf{b},\mathbf{a})\)
(ⅱ)\( ( (\mathbf{a} + \mathbf{b}),\mathbf{c} )= (\mathbf{a},\mathbf{c}) + (\mathbf{b},\mathbf{c})\)
(ⅲ)\( ( (k\mathbf{a}),\mathbf{b} ) = k(\mathbf{a},\mathbf{b}) = (\mathbf{a},(k\mathbf{b}))\)
(ⅳ)\( \mathbf{a}\cdot\mathbf{a} = \|\mathbf{a}\|^2\)
(ⅴ)\( \mathbf{a}\neq0,\mathbf{b}\neq0,\mathbf{a}\perp\mathbf{b} \Rightarrow \mathbf{a}\cdot\mathbf{b} = 0\)
この性質は後に問題を解く際に使用しますので,
一度目を通しておくとよいでしょう
では,成分表示されたベクトルの内積がどうなるのか見ていきましょう
定理:成分表示されたベクトルの内積
定理:成分表示されたベクトルの内積
ベクトル\( \mathbf{a}\),\( \mathbf{b}\)を共にn次元ベクトルとしその成分を
\( \mathbf{a} = \begin{pmatrix} a_{1}
\\a_{2}
\\\vdots \\a_{n} \end{pmatrix},\mathbf{b} = \begin{pmatrix} b_{1}
\\b_{2}
\\ \vdots \\b_{n} \end{pmatrix}\)とすれば
\( (\mathbf{a},\mathbf{b}) = a_{1}b_{1} + a_{2}b_{2} + \cdots +a_{n}b_{n}\)となる.
要するに同じ行成分に関して掛け算を行い,
その掛け算したものを足し合わせていくことで成分表示されたベクトルの内積となります.
このことを例題を用いて計算できるようになりましょう!
例題:成分表示されたベクトルの内積
例題:成分表示されたベクトルの内積
ベクトル\( \mathbf{a} = \begin{pmatrix} 1
\\2
\\0 \end{pmatrix},\mathbf{b} = \begin{pmatrix} -2
\\3
\\2 \end{pmatrix}\)について
内積\( (\mathbf{a} , \mathbf{b}) ,(\mathbf{a} – 2\mathbf{b}, \mathbf{b})\)
を求めよ.
\( (\mathbf{a} – 2\mathbf{b}, \mathbf{b}) \)に関しては,
先に\( \mathbf{a} – 2\mathbf{b} \)を計算して内積を求める方法と
定理:ベクトルの内積の基本性質を使って計算する方法があります.
今回に関しては定理をつかったものを解答として示しておこうと思います.
それでは解答に移ります
それではこの例題を参考にしつつ色々な問題を問として用意しましたので解いてみましょう!
問:成分表示されたベクトルの内積
問:成分表示されたベクトルの内積
ベクトル\( \mathbf{a} = \begin{pmatrix} 2 \\5\\11 \end{pmatrix},\mathbf{b} = \begin{pmatrix} -2 \\-4\\1 \end{pmatrix},\mathbf{c} = \begin{pmatrix} -2 \\3\\-1 \end{pmatrix}\)について
内積\( (\mathbf{a} ,\mathbf{b}),(\mathbf{b}, \mathbf{c}),(\mathbf{c}, \mathbf{a})\)
,\( (\mathbf{a} + 2\mathbf{b} ,\mathbf{a} + 3\mathbf{c})\)を求めよ.
この問に対して補足します.
ぱっと見ではわかりませんが計算した結果\((\mathbf{c}, \mathbf{a}) = 0\)になった
ということは,この2つのベクトルは直交しているということがわかります.
以上が,「成分表示されたベクトルの内積」という話です!
ベクトルの内積の幅が少し広がったかなと思います.
それではまとめに入ります!
「成分表示されたベクトルの内積」まとめ
「成分表示されたベクトルの内積」まとめ
・成分表示されたベクトルの内積は,同じ行成分に関して掛け算を行い,その掛け算したものを足し合わせていくことで計算ができる