【入門線形代数】n次正方行列の行列式(余因子展開)-行列式-

スポンサーリンク

「n次正方行列の行列式(余因子展開)」では,行列の余因子展開を用いてn次の正方行列の行列式を求めていくということを行います.
この記事では行列の小行列式と余因子の理解が必須です!
もし,忘れてしまった人はこちらの記事を読み返してからこの記事を読んでいただくと良いでしょう!

「n次正方行列の行列式(余因子展開)」目標

・n次正方行列の行列式を余因子展開を用いて計算できるようになること.

行列の余因子展開

早速余因子展開を定義することから始めましょう!

余因子展開

余因子展開

n次正方行列\( A = (a_{ij}) \)とその余因子\( A_{ij} \)を用いて
Aの行列式\( \mathrm{det}A \)は以下のようにかける.

\( (1)\mathrm{det}A = a_{1j}A_{1j} + a_{2j}A_{2j} + \cdots + a_{nj}A_{nj} (j = 1,2, \cdots ,n) \)
:第j列に関する余因子展開
\( (2)\mathrm{det}A = a_{i1}A_{i1} + a_{i2}A_{i2} + \cdots + a_{in}A_{in} (i = 1,2, \cdots ,n) \)
:第i行に関する余因子展開

余因子についてはこちらの記事で復習できます.
この定義のポイントは
(1),(2)どちらの展開を選んでも答えが一致します.
また、どの列でもどの行でも結果は一致します.

なので、実際に計算する際は計算しやすそうな行や列を選ぶのがポイントです.(これに関しては多くの問題をこなすことで感覚が養われます.)
では、実際の例として3次正方行列の行列式すなわちサラスの公式が実際に成り立っているのか
(1),(2)両方のパターンで確認してみましょう.

例題:行列の余因子展開

例題:行列の余因子展開

行列Aを
\( A = \left(\begin{array}{crl}a_{11} & a_{12} & a_{13} \\a_{21} & a_{22} & a_{23} \\a_{31} & a_{32} & a_{33}\end{array}\right) \)とする.

このAに対して,以下の方法を用いて余因子展開を行い行列式を求めよ.
(1)第1列に関する余因子展開
(2)第1行に関する余因子展開

よって、サラスの公式と同じ答えが導かれました.
同様に行に関しても展開してみましょう!

こちらの結果もサラスの公式に等しいですね!
では,最後に実際に数値を計算してみましょう!

問:行列の余因子展開

問:行列の余因子展開

次の行列の行列式を余因子展開を用いて求めなさい.
\( A = \left(\begin{array}{cc}1 & 2
\\3 & 4\end{array}\right) \)
\( B = \left(\begin{array}{crl}3 & 1& -1
\\5 & 1 & -1
\\2 & 2 & 3\end{array}\right) \)

今第一行目に関して計算しましたがなぜこの行を選んだかというと
第一行成分が「1,2」と他の行や列に比べて計算が楽になるのではないかと判断したからです.
このように楽になりそうな行や列は意識的に選んでいきましょう.

以上が「n次正方行列の行列式(余因子展開)」という話です.
この方法を用いることで行列式がn次まで計算できるようになるのでサラスの公式が適応外となる
4次や5次やもっと大きい行列式を計算できるようになります!

それではまとめに入ります!

「n次正方行列の行列式(余因子展開)」まとめ

「n次正方行列の行列式(余因子展開)」まとめ

・n次正方行列の行列式を求める方法に余因子展開という方法がある.
余因子展開は任意の行または列について以下の計算するものである.
第i列:\(\mathrm{det}A = a_{1j}A_{1j} + a_{2j}A_{2j} + \cdots + a_{nj}A_{nj} (j = 1,2, \cdots ,n) \)
第j行\(\mathrm{det}A = a_{i1}A_{i1} + a_{i2}A_{i2} + \cdots + a_{in}A_{in} (i = 1,2, \cdots ,n) \)

入門線形代数記事一覧は「入門線形代数

タイトルとURLをコピーしました