この章では中学生の頃から扱ってきた, 連立一次方程式を行列を使って解いていこうと思います.
「なぜわざわざ行列を使って解くのだろうか?」
「いままで使わなくても解けていたよ!」
と思う方もいるかもしれません.
行列を使って連立一次方程式を解くメリットはいろいろあります.
この章を通して連立一次方程式を今までと異なる視点で考えられるようになると思います.
手始めとして, 今回は係数行列と拡大係数行列を紹介します!!
係数行列と拡大係数行列
具体的な連立方程式を考えて, 係数行列と拡大係数行列を定義することにします.
そのためにまず, 連立方程式を行列を用いて表すことをしていきます.
今回は, 具体例として以下の連立方程式\( (*) \)をつかっていきます.
\( \begin{cases}2x + 5y = 1 & \cdots (1)\\x + 2y = 3 & \cdots (2)\end{cases} \cdots (*) \)
この連立一次方程式\( (*) \)の左辺を, 行列の積で表してみましょう.
「2x+5y」と「x+2y」は, (2, 2)型行列と(1, 2)型行列の積を利用して以下のように書けます.
\(\begin{pmatrix} 2x+5y \\ x+2y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 2 & 5\\1 & 2\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix} \)
次に, 右辺を見ていきましょう. 右辺については「1」「3」が縦に並んでいるだけなので
\( \begin{pmatrix}1\\3\end{pmatrix} \)
と書くことができます.
従って, 連立一次方程式\( (*) \)は以下のように表現することができます.
\( \begin{pmatrix} 2 & 5\\1 & 2\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}1\\3\end{pmatrix} \)
左辺の2×2行列は, 連立方程式の係数を取り出した行列であることがわかると思います!!
この行列のことを係数行列といいます!!
さらに, 係数行列と右辺の2×1行列もあわせて
\( \left(\begin{array}{cc|c}2 & 5 & 1\\ 1 & 2 & 3\end{array}\right) \)
と書かれた行列のことを拡大係数行列といいます!!
係数行列と拡大係数行列について図をつけておきます.
では, このことを一般化して定義します!
係数行列と拡大係数行列
ここからは, 実際に係数行列と拡大係数行列を求める練習をしましょう.
問:係数行列と拡大係数行列
以上が係数行列と拡大係数行列についての解説です.
次の記事では, 行列の基本変形と呼ばれる操作を説明していきます.
それでは今回のまとめに入ります!!
「係数行列と拡大係数行列」のまとめ
次回の記事「行列の行基本変形」
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